学びなおしとしての英語 その1
英語を日常の中に取り入れながら、自分のペースで、長く付き合っていく。

英語を学び直そうと思ったとき、多くの人が最初に思い浮かべるのは、
「理想の姿」かもしれません。
流暢に話している人。
堂々と英語を使いこなしている人。
それは、少し遠くて、少し現実離れして見える存在です。

2023年ゴールデングローブ賞 助演男優賞 キー・ホイ・クァン
TEDのスピーチや、英語で想いを語る人の言葉に触れると、
言葉そのものが持つ力を感じることがあります。
自分の考えを英語で伝えられることには、
どこか憧れにも似た魅力があるのではないでしょうか。
私も20代の頃、独学で英語を学ぼうと決心して渡米しましたが、その道のりは容易ではありませんでした。留学などで学ぶ環境が整えば上達しますが、独学で学ぶ場合、環境が整わなければ限界があります。
ただ、努力だけでは言語を短期間で習得するのは難しいものです。特に大人の場合、映画やドラマをただ聞き流すだけでは成果は期待できません。では、日本人にとって効率的な英語学習環境とは何でしょうか?
「英語が使えている状態」って、どんな感じ?

ゴールは、ひとつではない
英語が使えるようになる、という状態は、
必ずしも流暢さや完璧さだけを指すものではありません。
言いたいことを、完全ではなくても伝えられること。
相手の言葉を、すべてではなくても理解できること。
そして、そのやり取りが無理なく続いていくこと。
多くの人にとっては、
まずはこのような状態が
「英語を使えている」と感じられるラインではないでしょうか。
英語との付き合い方に、明確なゴールはありません。
完璧を目指す必要もなく、
自分のペースで学び続けていくことが大切です。
コミュニケーションには、その人らしさが表れます。
相手を思いやる気持ちは、世界中どこでも変わりませんし、
言葉はそのための一つの手段にすぎません。
英語を学ぶ過程では、
焦らず、比べず、楽しみながら、
自分なりのやり方で成長していけば十分です。
英語に触れるための、いくつかの方法
英語の学び方には、さまざまな形があります。
ここでは、日常に取り入れやすい代表的な方法をいくつか紹介します。
シャドーイング
英語の音声を聞きながら、少し遅れて声に出す練習方法です。
発音やイントネーション、英語のリズムに慣れるきっかけになります。
反復練習
文法や単語、短いフレーズを繰り返し使うことで、
少しずつ自然に口から出てくるようになります。
毎日少し声に出すだけでも効果があります。
実際の会話練習
英語を使う機会を持つことで、
「知っている英語」を「使える英語」に近づけることができます。
オンラインの会話サービスや英会話クラスも、その一つの選択肢です。
多読・多聴
本やニュース、ポッドキャストなどを通して、
英語に触れる量を増やしていく方法です。
意味をすべて理解しようとせず、流れに慣れることを目的にしても十分です。
エクスポージャー
英語に触れる環境を、生活の中に少しずつ作っていくことです。
特別な勉強時間でなくても、
英語が身近にある状態を保つことが大切です。
自分に合った勉強方法を見つけることが大切
英語の勉強方法に、万人に当てはまる正解はありません。
効果的だと言われる方法も、
すべての人に同じように合うわけではないからです。
自分に合わない方法を、無理に続ける必要はありません。
むしろ、心地よく続けられる形を見つけることが、
結果的に一番の近道になります。
たとえば、
YouTubeやNetflix、Amazonプライムなどの映画やドラマを
英語学習に取り入れる方法があります。
私自身、一度見た映画を何度も繰り返すのはあまり得意ではありません。
その代わりに、多読にならって「多聴」を意識し、
英語に触れる時間そのものを増やすようにしています。
細かい部分をすべて理解しようとしなくても、
繰り返し触れていくうちに、
聞き取れる表現や語彙が少しずつ増えていき、
英語のリズムやイントネーションにも自然と慣れていきます。
勉強に使う時間について
英語学習には、
毎日30分から1時間ほどの時間を確保できると理想的です。
ただし、忙しい日には短時間でも構いません。
大切なのは、
できない日があっても、また戻ってこられることです。
短い時間でも集中して取り組めば、
その積み重ねは確実に力になっていきます。
リラックスできる環境をつくる
静かで集中できる環境は、学習を助けてくれます。
同時に、興味のあるテーマや楽しめる教材を使うことも、
長く続けるためには欠かせません。
英語の映画や音楽を通して触れる時間も、
立派な学習の一部です。
発音について
発音は、英語でのコミュニケーションにおいて大切な要素です。
日本語とは母音やリズムが異なるため、
意識して声に出す練習が役に立ちます。
とはいえ、
発声できる場所を確保するのが難しいこともあります。
自宅や公園など、
自分が無理なく声を出せる場所を見つけてみてください。
実際の会話とのギャップ
実際の英語の会話は、
教科書どおりには進みません。
スピードが速く、
スラングや方言が使われることも多く、
最初は戸惑うのが普通です。
そのギャップを埋めてくれるのが、
日常的なエクスポージャー(英語に触れる量)です。
映画やドラマを活用する学習方法は、
その意味でもとても相性が良い方法だと言えるでしょう。
まとめ
これらの方法を組み合わせて、
日常生活の中に英語を取り入れていくことが、
結果的に、英語との距離を縮める近道になります。
英語が使えるようになることは、
決して手を抜くという意味ではありません。今まで英語学習に悩んでいた時間を、毎日の決まった時間に集中して取り組むことが重要です。
そのためには、毎日30分から1時間は時間を作って英語を聞き、その後にリビュー(復習)を行いましょう。この継続は大きな成果を生む鍵となります。
マルコム・グラッドウェル著『アウトライヤー』という本では、1万時間費やせば誰でもその道のエキスパートになれるとされています。これは、成功者たちの記録から導かれた真実です。盲信する必要はありませんが、積み重ねる努力が成果を生むことを忘れず、日々の学習を続けていきましょう。
最後に、
英語の勉強は「楽しみながら続けること」を大切にしてください。
英語学習は、
一度にたくさんやることよりも、
日常の中に少しずつ入り込んでいる状態を作ることが大切です。
- 毎日少しでも英語に触れる
- 疲れたときは、無理をせず休む
- できる日は30分、できない日は短くてもいい
続けられる人は、
意志が強いわけでも、特別な方法を知っているわけでもありません。
無理をしないことを選んでいるだけです。
毎日30分の積み重ねは、
気づかないうちに大きな時間になります。
そしてその時間は、確実に英語との距離を縮めてくれます。
今回は、英語学習全体の考え方を整理しました。
次回は、
実際にどのように学習を進めていけばいいのか、
日常の中で取り入れやすい形を一緒に考えていきましょう。

